タイの税法の最近の動向は、タイに居住する個人に対する外国所得への課税の方法に変化をもたらすことを示唆しています。国際課税基準とタイの国際的な課税透明性イニシアティブへの参加を背景とするこれらの変更は、現在および将来の外国人居住者に影響を及ぼします。以下は、外国所得税に関する新しい規制と検討中の法案の概要です。
1. 外国所得税制の変更(2024年より適用)
財務省令第161/2566号および第162/2566号により、タイにおける外国所得課税方法が大幅に変更され、2024年1月1日から適用されます。
- 送金ベース課税:これまでは、タイに180日以上居住する個人は、外国所得を得たのと同じ暦年内にタイに送金された場合に限り、外国所得に対する課税の対象となっていました。そのため、多くの企業は、課税を避けるために送金を先延ばしにしていました。
- 新ルール:2024年1月1日以降、タイに持ち込まれた外国所得は、その所得がいつ発生したかにかかわらず、タイに持ち込まれた年に課税されることになります。これにより、これまでの課税繰延戦略は排除され、「同一暦年送金」から「送金」ベースの課税に移行します。ただし、このルールは2024年1月1日以前に生じた外国所得には適用されません。
2. 海外で発生する外国所得に関する検討中の法案
今後、タイの外国所得課税をより包括的に変更することが議論されています。
- 全世界所得課税方式: 提案された改正案は、まだ初期段階ですが、タイに180日以上居住する個人は、その所得がタイに持ち込まれていない場合でも、外国所得に対して納税を義務付けられる可能性があります。これは、送金ベースの課税から、タイに送金されたか否かに関係なく、「発生所得」(海外で発生した所得)への課税への移行を意味します。
- 国際的な透明性: これらの変更は、タイが「税務上の透明性と情報交換に関するグローバルフォーマル」に参加していることが背景にあります。加盟国間の金融情報の自動交換を通じて、タイの税務当局は、居住者が海外に保有する金融口座と収入に関する詳細なデータにアクセスできるようになります。
これらの改正はまだ初期の段階ですが、国会で承認されれば、この法律案は2025年に施行され、タイに居住する外国人だけでなく、海外で所得があるタイ国民にも影響を与える可能性があります。
3. 長期居住外国人に対する免除措置
このような変更が検討されていますが、タイ政府の定める特定の基準を満たす長期居住外国人に対する免税措置が存在します。この免税措置は、タイの発展に貢献する外国人を誘致し、定着させることを目的としており、対象となる個人に対して税金の一部が免除されます。
4. 今後について
タイの税制が厳格化するにつれ、外国所得のある個人にとってタックスプランニングは重要な役割を果たすことになるでしょう。新しい規則では、コンプライアンスを維持し、税負担を軽減するために、将来を見据えた戦略を採用することが不可欠となっています。
ILAWASIAでは、17年以上にわたり税務に関する専門知識を積み重ねてきており、これらの新しい税制に対応するクライアントをサポートする体制を整えています。
当事務所のサービスには以下が含まれます。
- 税務に関する法律相談
- 国際的なタックスプランニング戦略
- 外国所得税規制のコンプライアンス
タイ在住の方またはタイ在住予定の外国人の方、または外国所得のあるタイ国民の方はぜひILAWASIAにご相談ください。進化する税務環境に先んじて対応できるよう個別のガイダンスと専門的なサポートを提供いたします。
著者
Tanadee Pantumkomon, Partner
Wachinorot Siladet, Associate
Gensei Ohama, Attorney-in-Law
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